抵当権付き不動産の売却・購入の注意点!

抵当権付き不動産の売却や購入をお考えの方は、聞きなれない「抵当権」という言葉に不安を感じると思います。テレビドラマのセリフでも「抵当に入れる」等が出てきますが、ネガティブな言葉としての印象が強い為だと思います。

しかしネガティブの捉える必要はありません。住宅という不動産に抵当権が付いている場合は、ほとんど住宅ローンの担保権として設定されているものです。多くの住宅購入者が住宅ローンを利用して住宅を購入していることを考えれば抵当権は非常に一般的な担保の形式といえます。

正しく性質を理解していれば抵当権付き不動産の売却や購入に何らの不安を感じることもありません。

不動産購入時の抵当権の性質は?住宅ローンの借入要件。

最初に不動産購入時の抵当権の役割を見ていきましょう。金融機関などからお金を借入れずに全額自己資金で不動産を購入する場合は抵当権が登場する場面はありません。

抵当権が登場するのは金融機関から借入をして不動産を購入する時だけです。住宅の場合は住宅ローンという借入を行った場合に登場します。

抵当権は担保権と言われるように、もし住宅所有者(住宅ローン借入人)が住宅ローンの返済が出来なくなった場合は、金融機関がその住宅(不動産)を売却した代金から優先して弁済を受けられる権利です。

この権利があれば、担保の不動産の売却は裁判所による競売の場合もあれば、通常の売買もありますが、その売却代金から優先して返済が受けられることになります。

金融機関から住宅ローンを借り入れる場合、購入する不動産に抵当権を設定する事は「借り入れの要件」になっています。(必ず設定される)

優先して弁済を受けらるとは?不動産売却代金から残債全額を優先して受領できる。

抵当権は設定している不動産の売却代金から優先して弁済を受けらるとはどういう事でしょう?例を見ていきましょう。

売却すると2,000万円になる住宅を所有していて、
借金が住宅ローン残債が1,800万円、その他の債務が500万円(担保権無し)あるとします。
不動産に抵当権が設定されていない場合の配分は?
抵当権が設定されていない時の配分は債権額案分になるので以下の様になります。
「債権額案分」 = 「 個別債権額」÷「総債権額」で計算されます。よって債権額の按分は

                     銀行の債権額案分・・・ 1800万円÷(1800万円+500万円)=78%
      その他の債権額案分・・ 500万円÷(1800万円+500万円)   =22%
 

貸付人弁済額債権割合
住宅ローン貸付銀行1560万78%(1800万)
その他の債権者440万22%(500万)
合計2000万100%(2300万)

 

不動産に抵当権が設定されている場合の配分は?
抵当権が設定されていると銀行が残債の全てを優先的に受領できるため、以下の様は配分になります。
まず、抵当権をもつ銀行が債務の全額を受領し、その余りをその他の債権者が受領する
 
    銀行の配分・・・・・・ 1800万円全額
    その他の債権者配分・・(2000万円-1800万円)   =200万円

貸付人

弁済額債権割合
住宅ローン貸付銀行1800万78%(抵当権有)
その他の債権者200万22%(抵当権無)
合計2000万100%(2300万)
抵当権によって銀行の回収金額は、1560万円から1800万円まで上がります。
これが住宅ローンを借り入れる際に銀行が抵当権設定する事を要件とする最大の理由です。
念のためですが、もし売却代金全額でも残債全てを返済できない場合は、無担保の債権として返済義務は残ります。抵当権付き不動産を売却して、限界まで弁済したから借金がチャラになるわけではないので誤解しないようにしてください。

抵当権付き不動産の換価手続きは?競売、任意売却の2パターン!

住宅ローンが弁済出来なくなった時、銀行は抵当権によって優先弁済を受ける為、不動産を売却させますが、その手法は2通りあります。

自ら買主を探す抵当権付き不動産の任意売却。

強制的に売却される競売は最後の手段なので、まずは住宅ローン債務者自ら買主を探して売却する事が出来ます。もちろん自分でと言っても仲介会社等におねがいして買主を探す事になります。

任意(売主の自由な意思で)で売却できるので強制的に売却される競売よりも高く売却出来る可能性があります。

この段階で買主が見つかり売却して残債全てを弁済出来れば売却してしまうのがいいでしょう。

買主が見つかっても残債全てを弁済出来る程の高く売却出来ない場合も多いです。その場合は銀行との交渉が必要になります。そこで合意が出来なければ強制的な競売手続きに進むことになります。銀行は全額弁済受けられない場合は、この任意売却と競売でどちらの方が弁済される金額が多いかで判断をする事になります。

なるべく競売に進む前のこの任意売却の段階で抵当権付き不動産の売却出来た方が結果は良い方向に進むことが多いです。

より高く不動産を売却する為に一括査定を利用しましょう。

又、任意売却のステージに来ると財産の状況も決して良くない状態なります。人によっては「借金で家を売る」という印象を近所に与えたくない人もいます。

又築年数が古くリフォームや補修が必要な物件は個人のお客様へ売却するのは困難です。

その様な時は不動産会社による買取を考えて下さい。

秘密厳守で、残置物があっても汚れていてもそのままの状態で買取ってくれます。又引き渡しなども実際に住まない不動産業者が買い取ると融通が利きます。「買取博士」は買取会社が直で運営している無料の査定サイトで査定はもちろん無料で且つ仲介手数料もかからないのでおススメです。

任意売却が出来ない時は最終的には強制的な競売へ。

任意での売却が出来なかった場合は、抵当権を実行するつまり銀行が競売を申し立てます。

この段階になると、所有者(住宅ローン債務者)の意思とは関係なく強制的に裁判所の手続きで不動産を売却されてしまいます。

競売では一般的に売却価格も安くなるので、残債を弁済しきれない時にのこる借金も多くなるのでなるべく任意売却の段階で抵当権付き不動産を売却出来た方がいいでしょう。

競売まで進むと、落札後は落札者がある日、家にやってきて、家の引き渡し手続きをしてきます。こんなことは避けたいですよね。

抵当権付き不動産を売却・購入出来ない理由は強制的に売却されるから

抵当権は非常に強力な担保権で、債務の弁済が無い場合は不動産の所有者の意思に関係なく競売を申し立てて不動産を売却してしまう事が出来ます。所有者の意思に関係ない為、抵当権付き不動産を抵当権付きで購入しても所有者は所有者ですのでリスクがあります。

抵当権付きのまま不動産を購入すると他人の債務を自分の不動産で担保している事なる。

抵当権付き不動産を抵当権付きのまま購入すると、その抵当権に紐づく債務(住宅ローンなど)の債務者は前所有者(つまり売主)です。

抵当権付きの不動産を買った後、債務者である前所有者が債務を弁済しないと銀行が抵当権を実行して、折角購入した不動産を強制的に競売で売却してしまいます。

つまり他人の債務を自分の不動産で担保している事になります。前所有者が債務不履行すると買った不動産が競売にかけられる。

他人(前所有者)が債務を返済していくかなどは分からないので抵当権付き不動産を購入する事は非常に大きなリスクを負う事になります。

他人の債務を自分の不動産で担保しようという人はいないので売却も出来ない

逆に考えれば他人の債務を自分の不動産で担保してあげるという様な人はいないので、抵当権付き不動産を買う人はいません。

よって抵当権付き不動産は売却も出来ないという事になります。親族や親が肩代わり的に購入する場合は稀にありますが、、、

更に住宅ローンの銀行との契約にも勝手に抵当権付き不動産を売却出来ないようになっていますので、注意してください。

抵当権付きの不動産は抵当権を抹消(債務弁済)をしないと売却出来ません。

抵当権付き不動産の売却・購入の注意点まとめ

住宅購入の際は前所有者の抵当権を抹消してもらい、自分の住宅ローンの抵当権をつけて購入する事になります。

信頼のおける仲介会社、自分の住宅ローンの貸付銀行が取引に関われば、抵当権付きの不動産をそのまま取引させるようなことは両社のチェックによって現実的に出来ません。

この仲介会社や住宅ローンの銀行が関わらない時はチェック体制もないので抵当権付き不動産を購入してしまうリスクが大きくなりますので「抵当権付き不動産は前所有者の抵当権を抹消してから(同時でも可)購入する」という原則を忘れないでください。

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