昨今、築年数の古いマンションをリノベーションして再販売する会社が増えています。この様な会社は中古マンションを買取する事でバリューアップする中古マンションを仕入れる為、「買取会社」と呼ばれます。
中古マンション売却で個人に仲介会社を通じて売却する事を「仲介」、買取会社に売却する事を「買取」と言っています。
中古マンションの売却を考えた時、この2つの取引形態「仲介」と「買取」どちらを選べばよいでしょうか?3つのパターンで整理すれば最適な中古マンションの売却方法が分かります。
- 売主の要望や事情で買取を選択した方がいい場合
- 物件の状況により仲介を選択した方がいい場合
- 物件の状況により買取を選択した方がいい場合
中古マンションを販売する売主の状況で買取か仲介かを選択!
中古マンションの売主には高額な所有している中古マンションを売却する決断をするには理由があり、又、自分なりに取引において避けたい事があります。これらの売主の事情は買取か仲介かを選択するにおいて最重要ポイントになります。
スピード重視!売却代金が即必要なら「買取」を!
中古マンションの売却代金を一刻も早く受け取りたい場合や自分の家である中古マンションの販売活動しているという状態自体にストレスを感じる方はスピードが重要視される事情があります。
この場合は買取がおススメです。買取であれば長くても売却を決断してから1ヶ月で中古マンションの売却代金を受領することが出来ます。又買取るのは不動産会社なので事情を話せばもっと早く売却代金を受領できる場合もあります。
逆に仲介による販売は仲介会社が行う広告やチラシを通じて広く個人のお客様に告知をして買主を探します。更に中古マンションは大きな買い物ですから一人の購入検討者に対して
という多くのステップを踏まなければならず、最初に内覧したお客様が購入する事は非常にまれですのでこの作業を何度も行わなければなりません。よって仲介の場合は中古マンションの売却代金を受領するまで4か月~1年程度かかる事が平均的です。
秘密!ご近所に知られずに売却したい場合は「買取」を!
仲介で中古マンションを販売するにはその中古マンションが販売中であることを広く近所の方に知ってもらう必要があります。(中古マンションは近隣の方で決まる事が多く、仲介会社も近隣を中心にチラシをまく)
チラシが近所の投函されるのでご自分の中古マンションが販売中であることは近所の方の知るところとなります。(逆に近所の人が知らないと売却自体が出来ませんが)興味本位で隣人が内覧を希望してお部屋を見てみたい等の対応もしなければなりません。
この様な状況が面倒で秘密でご自分の中古マンションを売却したいという方は多くいます。この場合は買取がおススメです。
買取であれば広告を行わず、買取会社が買取るので誰にも知られずに中古マンションを売却することが出来ます。
近所の方は売却したことも、売りに出ていた事も知らないので、ある日突然そのお部屋をリノベーションマンションとして不動産会社が販売しだす事になります。
免責!売却後の責任を一切負いたくない方は「買取」を!
中古マンションを売却した後に、色々なクレームが想定されます。私の経験だけでも今まで以下の様なクレームがありました。
- 水道から赤い水か出る
- 窓の開閉がスムースに出来ない
- 住んで3日でトイレが詰まった
- 歩くと床がキシキシと鳴る
- 近所の保育園がうるさく知ってたら買わなかった
- ガスコンロの火がつかなくなった等々
中古マンションを売却した後、以前は瑕疵担保責任(現在は契約不適合責任)が一定期間課せられます。よって住んで間もなくに中古マンションに不具合が出てしまった場合は知らん顔は出来ません。しつこく「直せ!直せ!」と言ってくる怒る買主もいます。
この様に中古マンションを売却した後に何かトラブルになったり、修繕に費用がかかったりすることを避けたい方は買取がおススメす。
買取会社は不動産業者つまりプロなので、「売却後の責任を一切売主が負わない」と売買契約で約束して売却することが出来ます。この条文はほとんどの買取業者が契約書に入れている文言です。
楽々!検討客に何度もお部屋を見せるのが嫌な方は「買取」を
中古マンションを売却するには売り物であるお部屋を見せなければなりません。マンションの販売中は物件検討客が何人も内覧を希望しますので、平日休日を問わずお部屋を見せなければなりません。
この内覧対応は「検討客と仲介会社と売主の3者のスケジュール調整」、「内覧の為の片づけ」、「内覧対応」を何度も何度も行います。内覧中はテレビも見れませんし、非常に面倒臭い作業になります。
自分の中古マンションを見に来てくれているという好意的な気持ちではありますが、とにかく時間と手間がかかります。
この様な対応が大変と感じている方は買取がおススメです。
お部屋がきれいな中古マンションは仲介で販売を!
築年数の浅く、壁や天井、キッチンなどの設備に経年劣化の見られない中古マンションは個人の購入者を探す仲介がおススメです。
中古マンションをさがしている購入検討者は「新生活」に夢をいだいて中古マンションを探しています。中古マンションも金額は大きいですが、いわゆる「買い物」をしているのですから、商品を気に入らなければ購入する段階には進まないのです。
この購入につながる「気に入る」という状態になるには、お部屋がきれいでないと厳しいのです。イメージ的には以下の様なお部屋の状態ですと仲介で販売した方がいいでしょう。
お部屋がこの様にきれいな状態であれば、設備の補修のリスク等も少ないので売却後にトラブルになる不安も少ないでしょう。
きれいな物件に限っては買取が不利になる!
この様にきれいな状態の中古マンションは買取業者が買い取ってもバリューアップする要素もないのですから、買取した物件の価値を上げて高い金額で販売してフィ(利益)を得るという買取業者のビジネスは出来ないのです。
この場合買取を選択すると、買取業者は取得する為の経費と合わせて原価とし、それに利益を加えた価格で販売をします。つまり加工やバリューアップせずに買取した物件を何もせずに単純転売になります。
つまりそのままで売却可能な価格からこの経費と利益分下がった金額で買取をする事になります。
これが売却可能価格=相場から買取だと安くなるといわれる理由です。。
巷のうわさで中古マンションを仲介でなく買取にすると相場の80%~70%になるという記事などをよく見かけます。100%間違いではありませんが、この様な限定的な場面のみで当てはまるにすぎません。
築古の中古マンションでも買取だと安くなるという「誤った情報」が出る理由!
先ほども述べましたが、「中古マンションを仲介でなく買取にすると相場の80%~70%になるという」記事などをよく見かけますが、物件がきれいであるという限定的な場面のみで当てはまるという話をしました。
更に築古マンションについても誤った情報となっているので念のため解説をしたいと思います。
記事において相場と書いてある基準としている数字がまず違います。ここで記載されている「相場」というのはエンドの個人のお客様が内覧して物件を気に入るという状態、つまり何も手を入れなくても流通、販売が可能な状態のお部屋の事を指しています。この状態が100%の物件を相場と称し、経年劣化や設備に手を入れないと住めないような物件つまり買取業者に売却するしかないような物件や個人に販売するのが厳しい状態の物件を買取業者に買取をお願いすると80%になると言っているのです。そもそも状態が100%でないので80%は正当な相場価値なのにです。
「そのまま何の補修もせずに住める状態の物件」を「相場」と称し、「住む為に補修や改修が必要な状態の物件」を「買取金額」と言って比較している。
お部屋に経年劣化や補修の必要がある場合は買取の方がメリットが大きい!
売却しようとしている中古マンションのお部屋に設備が古く、壁や床が経年劣化していてる状態のお部屋は個人の購入検討者が物件を気に入るという状態になりにくいので買取がおススメです。イメージ的には下記の様な状態です。
この様な状態の中古マンションは新生活を夢見て物件を探している個人のお客様の心に響かないので、買取業者は買取を行いフルリフォーム等のバリューアップを行い個人のお客様のお客様が気に入って「欲しい」という物件に仕上げて再販売します。この位古いと設備などの故障など売却後のクレームになりやすいので買取で安心したいところです。
経年劣化のある物件を仲介で個人に販売した時のデメリットとは?
お部屋が経年劣化した状態で仲介で個人に販売するとどうなるでしょうか?採算記載しておりますが、購入検討者が「気に入る」という状態にならない為、中々成約に至りません。
よって販売期間が長期に及びます。その間の内覧対応等で疲れてしまい、いつ売却代金を得られるのかも分からなくなってきます。
そして物件の鮮度が落ち、売れ残りマンションと認知され、その中古マンションの市場価値が下がっていってしまいます。
近所の人にも中々売れないと好意的な目で見てもらえなくなってきます。
物件の状態を客観的に判断して、買主目線でそのままの状態で住みたい!と思えなければ早めに買取業者に買取の相談をした方がいいでしょう。
自分でバリューアップと考えた時の注意事項!結局損!
買取業者が行うバリューアップを自分で出来るでしょうか?それは技術面と金銭面でデメリットが大きいです。
- 間取りの検討・・プロの方が良い間取りを作れる
- リフォーム費用・・買取業者の1.5倍かかる
- トラブル・・リフォーム会社とのトラブルに個人で対応
間取りは中古マンションの販売を大きく左右するので経験豊富なプロ且つマンションの販売が分かっている工事業者以外の専門家が考えた方がいいですし、個人でリフォームを発注すると費用は約1.5倍(単発発注になるため)になり、そもそも信頼のおけるリフォーム会社を探せるかもわからず、トラブルになった場合は個人で業者と対峙しなければなりません。
この辺で自らバリューアップして業者の様な利益を狙うのはおススメしません。そもそも買取業者よりもコストがかかるので苦労の割に得る利益は少ないです。
まとめ 売り主の都合と物件の状況で買取かを判断!
中古マンション買取に関して先ほど記載した元々のメリットを再確認しておきましょう。
- 売却代金受領までの期間早い
- 近隣に知られず売却出来る
- 売却後の責任は免責
- 内覧などの手間がかからない
中古マンション買取にはこれだけのメリットがあります。これに加えて物件状況でそのままの状態で購入検討者が気に入るか?購入検討者が購入した直後にコストのかかる補修や改修の必要が無いか?で買取か仲介か判断してください。
そして買取が安くなるというのは限定的な状況でしか成り立たないただの噂ですので、気を付けて下さい。
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