ようやく良い中古マンションに出会えて、中古マンションの購入を決めた後におとずれる一つのハードルが住宅ローン審査です。この住宅ローン審査は大会社にお勤めの方でも不安を感じる方もいる様に、自分の社会からどの位信頼されているのかを計られているような錯覚さえしてきます。
しかし私の経験上ローン審査はあたりまえのチェックポイントがありそれさえクリアしていればパスできます。ポイントを見ていきましょう。
ローン審査の最重要ポイント。銀行がみる返済能力とは?
住宅ローンは文字通りお金を借りるわけですから、返せる人にしか銀行は住宅ローンを貸してくれません。この返済能力を表す指標がいくつかあるのでご紹介します。
- 現在の住宅ローン以外の借入状況
- 返済比率(借入額、年収、借入期間で決まる)
- 過去の借入金の返済状況
- 現在の健康状態
- 仕事の勤務状況
銀行は最初のステップとして,①現在返済を行っている借金の返済額を見る
住宅ローンを借りようとする時に、いくら収入があっても他の借入があれば給料から住宅ローンを返済する返済原資は少なくなってしまいます。この点を銀行はまずチェックします。
事前審査書類に「現在の借入」欄があるのでここは正確に記載をしましょう。この現在の借入状況については銀行は審査時に与信情報提供機関より情報を取得しますので、必ず全て分かってしまいます。
その意味では書く必要もないと言えますが、「銀行は借入をしっかり把握しているか?」という資金管理能力をはかっていると思います。記載漏れがあると「借り入れたお金を忘れてしまうお金にだらしのない人」との印象を与えてしまいます。これはローン審査にマイナスに働きますので、よく思い出して全てを正確に記載しましょう。携帯電話の割賦払いも借入に含まれますので忘れないようにしましょう。
銀行が借入をチェックする与信期間は下記の3つです。
クレジットカード会社と信販系の与信機関。
私が取得した時は、銀行借入や携帯電話の
割賦払いの履歴も載っていました。
〇株式会社日本信用情報機構(略称 : JICC)
消費者金融と信販会社の与信機関。
〇全国銀行個人信用情報センター(略称 : JBA)
銀行と銀行系カードの与信機関。
そしてこの現在の借入(返済額)は次に説明する返済能力をそのまま表す指標である返済比率の計算につながっていきます。
又、注意点として住宅ローンはローン期間35年等の超長期ローンです。そしてこの他の借入は例えばローン期間3年や5年の借入(自動車ローン等)だったとすれば、35年ローンの内の3年や5年だけ、つまり現在あるその他の借入の返済が終わる少しの期間だけ、住宅ローンの返済が厳しくなるだけとの印象を受けると思います。しかし銀行はその点は考慮してくれません。ローン審査の時に別の借入返済額がいくらあるかしか審査してくれません。
よって自動車などローン審査のゆるい高額商品のローンを組むのは、住宅ローンを借りた後の方が圧倒的に有利になります。
購入する順番は「住宅」➡「自動車」の順番にしてください。
返済能力を表す指標が②返済比率!これをクリアしてないとローン審査の土俵にすら乗らない!
返済比率とは年収に対して借入返済額が何パーセントを占めるかを表す計算値です。つまり以下の式で計算できます。
「年間のローン返済額(住宅ローン+既存借入返済)」÷「税込年収」
借入る住宅ローンの年間返済額は今の金利ではなく、銀行がストレスをかけたかなり高い金利で計算されます。(銀行の安全の為)現在ですと概ね4%がローン審査金利です。実際の金利は1%を切っている現状ではかなり高い金利で審査を行う事によって銀行は返済の安全度を見てローン審査している言えます。
この返済比率が概ね40%に収まっていればローン審査の土俵に乗ることが出来ます。(この高い審査金利で返済比率40%ですと実際の金利で計算した場合25%位の返済比率になります。)
ここで自動車などのローンがあると年間のローンの返済額が大きくなってしまう為、借入可能金額が少なくなったり、借入が出来なくなったりします。
いわゆるブラックリストに載っていないか?③過去の借入返済状況をチェック
過去の借入金の返済についてデフォルトを起こしていないか?返済が遅延していないか?をチェックして、借りたお金をきっちり返す人かを判断するローン審査です。銀行は先ほども記載した信用情報提供機関(株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構、全国銀行個人信用情報センター)で情報を取得します。
弁済をせずにデフォルトしてしまった過去があると一定期間はローン審査が通りません。又、クレジットカードなどの支払い遅延が3回位あるとローン審査が通りにくいと言われています。これら金融機関に不義理をしてしまった履歴があると一定期間(与信情報登録機関)を過ぎるのを、金融機関への不義理をせずに待つしかありません。
各項目、各機関によって情報が消えるまでの期間は異なりますが、登録されている登録機関は下記なります。
項目 | CIC | JICC | KSC |
単発61日以上の支払遅延 | 5年 | 1年 | 5年 |
連続3か月以上の支払遅延 | 5年 | 5年 | 5年 |
任意整理等の債務整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 7年 | 5年 | 10年 |
支払いの遅延で5年、自己破産は長くて10年与信情報に登録されます。これがいわゆるブラックリストです。不動産投資のローン審査の話の記事もあるのでこちらも参考にしてください。
不動産投資で銀行融資を可能にするポイントと準備!
健康でなければ住宅ローン審査は通らない!④現在の健康状態も重要!
多くの銀行では住宅ローンとセットで団体信用生命保険に加入を義務付けています。万が一借入人に不幸があった場合、保険金からローンの弁済を銀行がうけるものです。この場合保険金でローンが返済されるため、残された家族には住宅ローンのない住宅が残ります。ご主人に万が一のことがあった場合、無借金の家を家族に残せるという意味ではこの団体信用生命はメリットが大きいです。
この団体信用生命保険料は金利に含まれている場合は多く、団体信用生命保険に入れないと住宅ローンの借り入れが出来ないのでローン審査の重要な要素という事が出来ます。現在健康であるという事が重要です。
フラット35の様に団体信用生命保険への加入がマストではない住宅ローンもありますが、先に述べたご主人に万が一があった時に無借金の家を家族に残せるという大きなメリットを失ってしまいます。
私は団体信用生命保険と住宅ローンはセットで考えた方がいいと思います。
そして健康な時でないとこの保険に入れないので、中古マンションの購入をまだ先と考えているうちに病気になり保険に入れず、中古マンションなどの住宅が買えないという事もあります。健康なうちに早めに住宅を取得する事をおススメします。
転職は注意!安定して長期に給料を得られる人か?⑤仕事への勤務状況も審査されます
中古マンション購入時に組む住宅ローンの返済は勤労から得られる収入が返済原資です。よってこの勤労の状態についてもローン審査の対象です。
転職直後(1~2年を経過していない)の場合はローン審査に通りにくいです。それはその業種で長く勤めていけるのか?又転職して収入が不安定になるのでは?等を銀行は審査しています。
逆にステップアップで同業種での転職等の場合は、転職によるローン審査が緩やかに判断される場合が多いです。
ローン審査の5ポイント!改善して審査をパスできる事もある!
今まで上げた5ポイントの内次の3つはは変えられない事実なので、ローン審査の段階で改善は出来ません。
④現在の健康状態
⑤仕事の勤務状況
反対に次の2つは改善する事が出来る。
②返済比率(借入額、年収、借入期間で決まる)
この①②の問題は結局は返済比率の計算要素の内「年間返済額」の問題に収れんしていきます。よって
・自己資金を入れて借入額を減らす
・住宅ローン以外の借入を全て返済してしまう
事で返済比率を改善することが出来ます。
まとめ
中古マンション購入時不安に感じるローン審査ですが、それ程不安に感じる事はありません。説明した5ポイントをきっちり理解して、クリアしていればほとんどの場合ローン審査はパスします。
物件の担保価値はその物件が超超ボロい等特殊な事情が無い限り、担保価値でローン審査がダメになる事もありません。
自信をもってローン審査に臨んで下さい。
一つ付け足しますと、会社員の方は心配ありませんが、経営者・自営業の方はこの他に事業の方も審査の対象になりますので、今あげたローン審査のポイントの他に事業がうまくいっていることも重要になります。