不動産売却でかかる諸費用はどの位でしょうか?不動産売却の際、買主から値引き交渉を受けた時に「いくらまで値引きしたらマイナスになる」という分岐点は諸費用の額を知らなければ分かりません。諸費用の計算をせずに値引きをしてしまって、諸費用を支払ったら大損だったという事にならないように事前に諸費用は把握しておきましょう。
不動産売却前にかかる諸費用は?
不動産売却をする際は、不動産仲介会社や買取会社へ最初に声をかけて査定してもらう事でスタートしますが、この時点では諸費用はかかりません。
更に不動産会社が査定額を提示したり、仲介会社がチラシやネットで広告活動をしても諸費用はかかりません。
不動産売却の諸費用は成功報酬、税金は売却して確定した利益にかかりますので、不動産売買契約までは諸費用は一切かかりません。
不動産売却する時にかかる諸費用は?
不動産売却する時とは、不動産売買契約から代金決済・物件引き渡しまでを指します。この間にかかる諸費用を見てきましょう。
不動産売却「契約」時に係る諸費用
不動産売却の相手つまり買主が決まったら、不動産売買契約を締結します。この不動産売買契約の後、買主は住宅ローンの等の手続きをしますので、その間売主は待つことになり、残金の受領・引渡しは概ね1カ月後になります。
印紙税・・不動産売買契約書に印紙を貼付して支払う
不動産売買契約書に貼付する印紙代です。契約内容によって契約書の原本を1つにして相手方はコピーを受領する売主買主折半、売主負担、買主負担、又原本を2通作成しそれぞれが全額を負担する方法がありますが、現状は原本を2通作成し、それぞれ自分の売買契約書分を支払うのが一般的なようです。現状令和4年3月31日まで軽減税率が適用されます。印紙税の金額は下記の表のようになります。
不動産売却「決済」時にかかる諸費用
不動産売却決済とは、代金を受領して不動産を引き渡す手続きの事を指します。ここで不動産売却手続きは終了になります。
不動産売却の仲介手数料・・仲介会社へ支払う報酬
不動産売却に関する仲介会社への報酬は仲介手数料のみです。よって広告やチラシをどの位大々的にやってもらっても、法律で決められた上限以上の不動産仲介料を支払う必要はありません。
しかしながら金額はかなり大きくなります。仲介手数料の計算方法は下記になります。
又、買取業者に直接売却した場合はこの仲介手数料がゼロ円になりますので、買取は仲介手数料の節約になります。
登記費用・・司法書士報酬と登録免許税の合計額
不動産売却時に住宅ローンなどの抵当権が付いている場合と登記名義や住所が現状なる場合のみ売主は登記手続きが必要になります。それぞれ「抵当権抹消登記」と「登記名義人表示変更登記」です。
所有権移転の登記は買主の負担なので売主として負担するのはこの2登記のみで、抵当権もなく、登記名義が現状と一致していれば諸費用はかかりません。登記費用は概ね以下の様になります。
司法書士報酬・登記一件につき40,000~50,000円程度
住宅ローン一括弁済手数料・・ローンの途中で返済する手数料
不動産売却する場合は一般的に住宅ローンを完済します。(同時にその抵当権を抹消)この手続きに要する銀行へ支払う手数料ですが、金融機関によって様々ですので事前に確認をしておいた方がいいでしょう。
引越し費用・・物件を引渡で、売主は引っ越す為その費用
居住用の不動産売却ですと、買主に不動産を引き渡さなければならないので、売主は引越しが必要になります。
測量費・解体費・・戸建ての場合で買主に求められ契約した時
戸建ての場合、「土地の境界を確定してほしい」「建物を解体してほしい」等の要望を受ける事があります。これは売却条件なので交渉になり合意した内容が契約書に記載されます。そして売主は契約を履行する義務がありますので、もし境界確定や解体を行う場合は以下の金額を想定してください。マンションや売却条件交渉で行わないと決めた場合はこれら諸費用は掛かりません。
●建物の解体費・・・・・・・100万円~300万円程度
不動産売却後に係る諸費用は?
不動産売却手続きが終了し物件を引き渡したら終わりではありません。手続き終了後に係る諸費用がありますので油断は出来ませんし、事前に不動産売却後に係る諸費用もシミュレーションしておかないと手元の残る売却代金にくるいが出てしまいます。その諸費用は「譲渡所得税」です。
不動産売却益が出たら、確定申告し翌年6月に係る諸費用「譲渡所得税」
不動産を売却して利益が出たら確定申告を行う必要があります。不動産売却によって利益が発生した場合、翌年の3月15日までに確定申告をおこなわなければなりません。不動産売却後に確定申告をおこなうと、その翌年6月から譲渡所得税を所得税住民税に上乗せして支払うことになります。
譲渡所得税・・軽減措置後に不動産売却益が発生した場合、利益に係る税金
居住用の不動産売却で利益がでることはあまり想定されません。
マイホーム(自分が住んでいる家)の売却の場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使えますので、利益が3000万円でなければこの税金はかかりません。
多くの場合この3000万円以上の利益が出る事は稀なので譲渡所得税はかからない諸費用となる事が多いです。
更に3000万円以上の利益が出ても、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を利用すれば税率が10%程度にまで下げることが出来ます。居住用不動産の売却の場面では多くの場合、5年以上保有した場合に適用される低い税率の長期譲渡所得税率14.21%適用となると思いますが、その上更に軽減が受けられます。(転売などの短期の場合は、短期譲渡所得税率は20.315%)
譲渡所得について詳細に解説した記事がありますので、計算方法などはコチラをご参照ください。
不動産売却の諸費用を知れば手残りのお金の額がわかる!
この様に諸費用を正確に事前に把握しておけば、不動産売却後にいくらお金が残るかが分かります。これを知って買主との価格交渉にのぞめば、思わぬ損を被るリスクもなくなります。
不動産売却の諸費用の全てを事前に把握してから不動産売却活動をしてください。諸経費の関連記事はコチラ!