不動産投資を始めるために「自己資金をためた方」、「自己資金が無くて不安な方」色々いると思います。
投資を始める際に自己資金は多くあった方が安全なのであるに越したことはありませんが、自己資金が無いからと言って投資を躊躇する必要もありません。
自己資金を投資に利用すると手元の資金が減っていくので心地よい感じはしません。よって不動産投資ローンの利用を合わせて考えていくといいと思います。
不動産投資において自己資金を投入する効果とは!
不動産投資をする際に自己資金を投入する効果は主に以下になります。
自己資金を投下すると物件価格に対する借入金額が少なくなるので、
- 借入がしやすくなる
- 月々の返済が楽になる
- 売却時ローンの残債で売却出来ないリスクが減る
以上の様なメリットと引き換えに投下した自己資金分は手元資金が減る事になります。
自己資金を投下して借入額を下げると借入がしやすい理由。
例えば1000万円の物件を購入しようとしたときに、1000万円のローンを借入れると、マーケットが下がり担保価値が800万円になった時に、銀行は200万円の貸付金を回収できなくなるリスクがあります。
一方200万円の自己資金を投入して借入を800万円とした場合は、800万円の貸付金全額を銀行は回収できますので、貸し倒れリスクが大きく減る事になります。
従って銀行もリスクが低くなるのでローンを出しやすいのです。
更に自己資金をコツコツと貯めたという属性も評価されます。
しかしながら物件価格満額のローンでも不動産投資は可能ですので、返済計画の方が重要です。
自己資金を入れると月々の返済がどの位減るのか?
自己資金を入れると月々の返済がどの位減るのでしょうか?1000万円の物件を購入した場合でシミュレイションしてみましょう。
物件価格1000万円(ローン20年・金利2%)
自己資金 | 借入額 | 月々の返済額 |
全額ローン | 1000万円 | 50,588円 |
100万円 | 900万円 | 45,530円 |
200万円 | 800万円 | 40,471円 |
300万円 | 700万円 | 35,412円 |
400万円 | 600万円 | 30,353円 |
500万円 | 500万円 | 25,294円 |
600万円 | 400万円 | 20,235円 |
700万円 | 300万円 | 15,177円 |
800万円 | 200万円 | 10,118円 |
900万円 | 100万円 | 5,059円 |
全額自己資金 | 0円 | 0円 |
概ね自己資金100万円を投入する事によって、月々の返済が5000円づつ減っていくイメージです。
この物件から得られる賃料が60,000円、保有経費(管理費など)が10,000円とすると、自己資金を100万円出しておけば月々のキャッシュフローはプラスになります。逆に物件全額をローンにすると月々588円のマイナスになります。
この様に自己資金によって月々の支払額が変わりますので、この点が自己資金をいくら投入するかの判断基準になります。
売却時に「残債を返済できずに売却出来ない」この残債のハードルが下がります!
自己資金を投下すると借入額が下がりますので、所得から返済が進んだ状態でも残債は少なくなります。
物件売却の際、マーケットが下落していて購入時よりも安く売却しなければならい時があります。
この時に売却金額で残債を弁済出来なければ、更に弁済の為の資金を出さなければなりません。或いは追加の資金を出すのが嫌で売却をやめる人もいるでしょう。
1000万円の物件で年次の残債を見てみましょう。(期間20年・金利2.0%)
経過年数 | 自己資金0円 | 自己資金200万円 |
0年 | 1000万円 | 800万円 |
2年 | 917万円 | 730万円 |
4年 | 830万円 | 660万円 |
6年 | 740万円 | 590万円 |
8年 | 640万円 | 520万円 |
10年 | 550万円 | 440万円 |
例えば6年目に売却する時にマーケットが下がり物件価値が600万円になっていたとすると、自己資金200万円投下した場合は残債を上回っているので売却出来ますが、自己資金を投下していない場合は追加で140万円支払った完済しなければなりません。(売却諸経費除く)
この様に自己資金を投下すると売却する時の価格下落のリスクをヘッジすることも出来ます。
諸経費は自己資金から拠出した方がいい!
今までは自己資金が投資に与える影響を見るために諸経費を外してシミュレイションをしてみましたが、実際に不動産投資を始める時は購入に係る諸経費が必要になります。
「不動産投資に失敗しないコツ!まずキャッシュフローをチェックしよう!」参照
この諸経費を借入る事も出来ますが、なるべく自己資金でまかなう事をお勧めします。
諸経費ローンは金利も高く、期間も短い事が多いので月々のキャッシュフローを悪くしてしまうからです。
そして不動産投資を始めるにあたっては諸経費程度のスタートアップ費用は貯めておきたい所です。
よって自己資金は諸経費と物件価格に対して支払う金額の合計と考えた方がいいと思います。
返済計画をシミュレイションして適切な自己資金投入を!
自己資金が無い場合もある場合も判断に重要なのは「返済計画」と「借入可能額」です。
- 月々のキャッシュフローはいくら欲しいのか?
- 月々のキャッシュフローはいくらマイナスまで許容するか?
- 数年後に売却する予定があるのか?
- 銀行融資はいくら受けるのか?
上記4項目は、自己資金をいくら投入するかで調整できる項目です。従って返済計画から冷静に検討してください。途中で売却を最初から想定した場合は価格下落のリスク許容をどの程度みるかで判断してください。
不動産投資はそもそも担保物件があり借入をしやすい投資です。このメリットを活かしつつ、手元資金をいくら残したいのかという点を踏まえ、自己資金でキャッシュフローを調節してくのが賢い選択だと思います。