「不動産投資の利回りの計算をする」、利回りとは投資した金銭に対してリターンがどの程度あるかを表しています。
利回りは銀行の金利と類似していて、
(元本保証の預金と保証のない投資の違いはあります)
不動産投資の利回りは金利の様に先に決まっているものではなく、「収入」から「支出」を差し引いたリターンを「投資金額」で除してえる計算値です。
簡単な項目を入力するだけでエクセルシートで自動に利回りを計算する便利なシートを紹介します。
融資相談の銀行提出資料
「収支」
「キャッシュフロー」
「物件概要書」
が直ぐに出来る。
簡単入力!不足項目も自動で仮計算します。
不動産投資シートの使い方解説ページをご参照ください。
3つある利回りの種類と
計算方法を見ていきましょう。
私は物件検討に3種類の利回りを用いています。
②実質利回り(ネット利回り)
③金利後利回り(ネットAI利回り)
①「表面利回り」と②「実質利回り」はよく解説されている指標です。
③の「ネットAI(After Interest)」は、②から金利分まで考慮した利回りで、不動産投資ローンで資金調達をして物件を購入する場合は非常に大切な指標になります。
①表面利回り(グロス利回り)・物件検討のスクリーニング(ふるい分け)にしか使えない
表面利回りは、大まかな利回りです。
表面利回りの計算方法
計算も簡単ですが、反面利用できる用途は限られています。ふるい分け(スクリーニング)位しか用途はありません。
スクリーニングにしか使えないという理由は以下の2点です。
諸経費を含めた「総投資額」になっていない
〇分子が「収入」のみで
「支出」を全く考慮していない
しかしながら、計算が簡単なため、不動産の販売情報は全てこの「表面利回り」で表記されています。
我々の知りたい「実際の利回り」が「表面利回り」を超える事はない(支出を考慮していない)ので、
表面利回りが低い物件はこの時点で検討からふるい落としていいのです。
この様に「表面利回り」はこのスクリーニング(物件選別)に利用するだけの単なる目安でしかなりえません。
②実質利回り(ネット)
買う人によらず、物件そのものの収益性・実力を示す。
実質利回りは、その物件を「買う人が誰か?」や「ローンを使うのか?」等の投資する人のコンディションの差や周辺の状況に関わらず、物件自体がいくら稼げるのかを表しています。
実質利回りの計算方法
(「収入」-「物件運用にかかわる全ての支出」)÷「総取得金額」
従って支出の項目は買主のコンディションに関わるローンの金利等は含みません。
分母になる「総取得価格」とは物件代金に加えて下記表の取得経費を加えた金額です。
取得経費
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士手数料
- 印紙代
- 不動産仲介料
運用にかかる支出
分子となる「支出」には運用中にかかる経費で下記表の項目があります。
- 固定資産税(土地・建物)
- 都市計画税(土地・建物)
- 管理費
- 修繕積立金
- その他経費(振込手数料)
上記の様な支出を考慮して「実質利回り」が算出されます。
支出を考慮する為に分子が小さくなり、物件価格+諸経費も考えるので分母が大きくなり、
絶対に「表面利回り」より「実質利回り」が大きくなることはありません。
この実質利回りは買う人が誰かによらず、誰が買っても同じ金額である収入、支出、総取得価格からの計算値なので、「物件そのものの実力」=「誰が買うかに関係なく物件の稼ぐ力」を表しているのです。
では、買主が誰かによって影響が出る点を加味してみましょう。
③実質利回りAfter Interest(金利後利回り)は実際に「買う人」がいくら儲かるかを表す!
実質利回りで物件固有の実力を把握したら、次は自分が購入した場合は、どの位の利回りになるかを計算しましょう。
「不動産投資はローンを借りずに現金で買う人」と「ローンを借りて買う人」とでは「利息」という支出項目が変わりるので収益性も変わります。
この様なローンなど自分の個別の要素を全て盛り込んで「自分だけの利回り」を算出して不動産投資の可否を判断します。
買主の状況によって異なる支出でもっとも大きいものは「利息」ですが、以下の様なものがあります。
金利・利息 | ローンを借りる人のみ |
賃料集金代行費 | 集金を委託する人のみ |
火災保険料 | 加入する人のみ |
個別の部屋の管理費 | 管理を委託する人のみ |
この様な個別の要素(買う人の状況で変わる)を考慮すると自分が投資した時の利回り「実質利回りAfter interest」が求められます。
実質利回りAfter interestの計算方法
=(「収入」-「利息等も個別要素も含む全ての支出」)÷「総取得価格」
私の作成した不動産投資計算シートは簡単な入力だけで、ある不動産評価額を自動で仮に設定して、ローン計算も自動で行い、ある程度の精度のある「実質利回りAI」を計算できます。
是非利用してみて下さい。利用方法は「簡単入力で全て自動で計算!不動産投資計算シートの使い方」で解説しています。
不動産投資計算シートはキャッシュフロー表まで自動作成!
紹介した不動産投資計算シートは「表面利回り」、「実質利回り」、「金利後の実質利回り」が簡単に計算できるだけではなく、25年分の「長期キャッシュフロー表」も自動に作成されます。
更に、銀行融資の打診に利用できる「物件概要書」と「収支」の3表が自動作成されます。
非常に便利でかつ不動産投資判断に役に立つと思いますので、是非ご利用ください。
不動産投資計算シートは簡単に以下の3表が作成されます。
- 25年分の
長期キャッシュフロー表 - 事業収支
- 物件概要書
計算出来ない部分は感覚値で補って判断しましょう。
都内の一等地と奥多摩のへき地の収益物件の利回りは都内の一等地のほうが格段に低いでしょう。しかしながら利回りが低いという事は「収益性」のみで考えると大きなマイナスですが、私の肌感覚では都心の一等地の利回りの低い物件の方が売却する時にお客様が付きやすいです。
これは、収益性の他に都心という事で収益性とは離れた要素が購入意欲を煽っているからです。
○リスク・都心の方が空室リスクが少ない
○利便性・近隣の物件は管理しやすい
これら要素の内、確かに空室リスクが少ない点や管理しやすい事は不動産投資に大きなメリットを与えますので、キッチリ検討する必要がありますが、優越感は収益性から離れた要素で、あくまでサブ要素であることは忘れないようにしてください。「所有する喜び、「銀座にマンション買った」的な優越感の部分は忘れて下さい。
自分特有の投資基準「マイ利回り」で投資判断を!
「利回り」と「計算できないエモーショナルな部分」を合わせて物件を購入するか判断する事になります。
利回りがいいという事は、期中にキャッシュフローが貯まってきますので、有効な空室対策を打つことも出来るので安全ですが(サイト内記事参照)、東京の表参道に物件をどうしても所有したい方(エモーショナルな動機が強い)は多少利回り悪くてもチャレンジしたくなるでしょう。
私の場合は金利後の利回りが4.5%以上あると喜んで購入しておりますが、中々物件が無いので、そのハードルは下げて、逆に空室リスクがそもそも少ないエリアを狙う等策で、リスクヘッジしています。
ここで学んだ利回りを参考に、自分自身の利回りをもって不動産投資にぜひチャレンジしてみて下さい。